エアコンの取り外しを自分でやる危険性と安全確保について

エアコンの取り外し・取り付け作業は、専門的な技術が必要になります。

エアコンの取り外し手順を間違えると室外機のコンプレッサが破裂する恐れなどがありますので、取り外すだけなら自分でもできそうと安易に考えてはいけません。

エアコンの移設にはそれなりに費用がかかりますが、専門的な知識や技術、必要な資格を持っている業者にエアコンの移設をお願いしたほうが安全で安心です。

エアコンの取り外し作業は、一歩間違えると大きな被害が予想されます。

エアコンの取り外し時はどんな危険があるのか、安全なエアコンの取り外しを確保するためにはどうすれば良いのかをまとめていますのでご覧下さい。

エアコンの取り外し作業を自分でやる危険性

ネットで調べると「エアコンの取り外し方」に関する情報が沢山ありますが、自分でやるにはリスクが大きすぎます。

エアコンの取り外し時の作業ミス等などによって、毎年大きな事故が起こっています。

事故情報データバンクシステムが公表してる、エアコン取り外しに関する事故情報を以下にまとめました。

【エアコン取り外しに伴う事故事例】

  1. エアコン室外機の取り外し作業中、機器内部が破裂して周辺を損傷し、作業員2人が軽傷を負った。(発生年月 : 平成25年
  2. 戸建新築工事後ハウスメーカーがエアコン室外機を設置しているとき爆発音があり機器が破損した。(発生年月 : 平成24年
  3. 引越のため、ルームエアコンを業者に取り外してもらっていたら室外機が破裂音とともに壊れ、窓にひびが入った。(発生年月 : 平成23年
  4. エアコン室外機を取り外していたところ、室外機が破裂し、左足に軽傷を負った。(発生年月 : 平成22年

1~3の事例は、いずれも取り外し業者の作業ミスによるものです。

3の事例を詳しく見てみると、依頼者がリサイクルをしている会社をネット見つけ、費用はキャンペーン中で出張費のみ3,000円と安かったために依頼したようです。

各業者の力量がどの程度あったのかは分かりませんが、業者にお願いしても作業ミスがあり、実際にこのような大きな事故が起こっています。

4の事例は、被害者が自ら室外機を取り外した際に起こった事故です。室外機の引き取り先が見つかったために、自分で取り外そうとしたのが事故原因です。

エアコンの取り外し不良が原因の事故

  • 室外機のコンプレッサが破裂する
  • エアコン内の冷媒(フロン類)が漏れる

エアコンは、室内機と室外機とで繋がっており、繋がっている配管などの中には、冷媒(フロン類)という地球温暖化に大きな影響を及ぼすガスのようなものが充てんされています。

冷媒は、冷蔵庫やエアコンなどの熱交換を必要とする機器で循環する物質のことで、一般的にフロン類と指すと言われています。

フロンとは、フルオロカーボン(炭素とフッ素の化合物)の略で、熱媒体としての機能が理想的として、冷蔵庫やエアコンなどの冷媒として広く一般的に使用されています。

エアコンを取り外す際は、この室内機と室外機とを循環しているフロン類の回収をしなければなりません。

フロン類の回収作業、すなわち冷媒回収作業の際になんらかのミスがあると、上記例の事故が起こる可能性があります。

室外機のコンプレッサが破裂

室外機のコンプレッサとは、エアコン内の冷媒を圧縮する機械のことを言います。

部屋を暖かくしたり冷やす際には、冷媒の温度をコントロールする必要があるのですが、コンプレッサは冷媒の温度をコントロールする働きをしており、いわゆるエアコンの心臓部分のような役目を担っています。

エアコンは、室内機と室外機とで繋がっていますので、エアコンの取り外し時には、室内機や配管内にあるフロンガスを室内機へ送り出して封じる冷媒回収作業をしなければなりません。

この冷媒回収作業の際に、配管内に空気が入るようなミスがあると、温度上昇と圧縮によりコンプレッサが爆発するようです。

破壊力はかなり大きく、事故が起これば室外機が粉々に破損するなど、かなりの被害が予想されます。

エアコン内の冷媒(フロン類)が漏れる

エアコンの取り外し不良で起こる事故は、室外機のコンプレッサ破裂以外にも、エアコン内や室外機内、配管内にあるフロン類が漏れる事故が起こる可能性もあります。

家庭用エアコンには、上記画像のように、フロン類がエアコンに封じ込められていることが分かるように、シールで表示されていることがあります。

この表示シールには、「家庭用エアコンには最大でCO₂(温暖化ガス)3,600kgに相当するフロン類が封入されていること。」「地球温暖化防止のため、エアコンの移設や修理、廃棄等にあたっては、フロン類の回収が必要だということ」が書かれています。

エアコン取り外しの際には、正しくフロン類の回収作業をしないと、フロン類が漏れて温室効果をもたらす恐れがあります。フロンそのものに毒性はないと言われていますが、オゾン層に届くと地球規模の問題につながります。

日本冷凍空調設備工業会では、家庭用エアコン1台に使用しているフロン(R410A 約1kg)が全量大気に放出された場合のCO₂換算値は、レジ袋約14万枚を製造する時に発生するCO₂に相当すると公表しています。

フロンは、目に見えず匂いもないので、もし漏れていたとしてもわかりません。資格のある業者にフロン類の回収作業をしてもらう必要があります。

エアコン取り外しに関するネット情報に注意

上記にあるエアコン取り外し時の事故例を見ると、室外機の破裂や破損といった大きな事故ですので、一歩間違えれば大怪我を負ってもおかしくありません。

しかし、ネット上では、エアコンの取り外し方に関する情報が多く存在しており、専門的な技術がなくても、自分で簡単に取り外せることができるとの情報もあります。

エアコンの取り外し不良が原因で起こる事故は、エアコン本体から冷媒が漏れる危険性と、室外機のコンプレッサの破裂事故が主にあります。

正しい知識と技術がなければ、大惨事になることを頭に入れて、専門の知識と技術を持っているであろう業者でさえもミスをしてしまう程、危険な作業だということを覚えておきましょう。

エアコン取り外し時の安全確保のためにすること

  • 自分でエアコンの取り外し作業をしない
  • エアコンを購入した(または購入する)電器店に取り外す旨を相談する
  • エアコン製造事業者のサービスセンターに取り外す旨を相談する
  • 引越し時の移転の場合は引越し業者に相談する
  • 東京都在住の方は、住宅電気工事センターに相談する
  • 市区町村役場に相談する
  • 安易に不用品回収業者に作業依頼をしない

エアコンを安全に取り外すためには、使用者自らで作業をしないことが大前提としてあります。

エアコン取り外し時には、室外機のコンプレッサ破裂の恐れや、フロン類が放出することによる環境汚染問題がありますので、素人が手を出すものではありません。

エアコンを買い替える際に取り外すのなら、新しく購入する電器店に取り外す旨を相談し、買い替える予定がないのなら、エアコンを購入した電器店かエアコン製造事業者のサービスセンターに取り外す旨を相談しましょう。

引越しでエアコンを移転するのなら、引越し業者でもエアコンの移設を取り扱っていることがありますので、引越し業者に相談してみて下さい。

また、東京23区では、住宅電気工事センターが設けられており、一般の方の電気のトラブル等の相談を受け付けています。対応エリアは限られていますが、東京都の大半は対応エリアになっています。

気をつけて頂きたいのが、不用品回収業者でやっているエアコンの取り外し・取り付け作業です。

地域の許可がない不用品回収業者は無許可の業者であり、無許可の不用品回収業者に依頼した場合のトラブルは色々とあります。

無許可の不用品回収業者の中には、無料回収と称して高額な料金を請求してくる悪徳業者も少なくありません。(悪徳業者に騙されない方法)標準価格があまりに安い場合は、何かと別料金を付け加えて最終的に高く料金を請求してくる場合がありますので注意が必要です。

エアコンの取り外し作業が必要になる背景には、エアコンの買い替えや引越し、単に処分するだけなどと色々な要因がありますが、その都度適した方法でエアコンを取り外すことが大切です。

エアコンの取り外しや移設で迷うことがあれば、エアコンを購入した電器店や市区町村役場などに相談してみましょう。

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