引越しトラブル相談事例から学ぶ注意点とトラブル回避策
新生活を気分良くスタートするためにも、引越しのトラブルは避けたいところですよね。
引越しは何度も経験しないことなので、注意点についてよく分からないことも多いと思います。
そこで今回は、引越しトラブルにはどんなものがあるのか、「国民生活センターに寄せられた引越しトラブル事例」と照らし合わせながら回避方法を考えていきたいと思います。
国民生活センターに寄せられた引越しトラブル相談件数
国民センターに寄せられる引越しトラブルは、2011年度から2016年現在まで年間約2,500件以上もの相談があります。
1年を通して相談件数が多いのは3、4月になるので、2016年度はこれから増えることが考えられます。
引越しトラブル相談事例
国民生活センターが報告している相談事例の一部をまとめました。(「引越しサービスに関するトラブルを防ぐために」)
- 解約料発生前に解約を申し出たが解約料を請求された
- 引越し当日に業者が大幅に遅刻した
- 引越し9カ月後に家財の破損が発覚した
- 引越し作業中に業者側のミスで高価な家具が傷付いた
1.解約料発生前に解約を申し出たが解約料を請求された
インターネットの一括見積りを申し込んだところ、ある事業者から電話があり、見積りのために訪問してきた。
他社の見積りを比較してから決めたいと言ったが、業者が強引だったので仕方なく契約した。
その後、他社に見積りしてもらったところ、安かったので解約の連絡をした。
連絡した時期は引越し1カ月前だったのに、3割の解約料がかかると言われてしまった。支払わなければならないのか。
(2013年5月受付 30代男性)
「引越し1カ月前に解約の連絡をしたところ、3割の解約料がかかると言われ、支払わなければいけないのか」との相談です。
国土交通省の許可を得た引越し業者であれば、引越しの約款(標準引越運送約款)に基づくルールがあるはずです。
標準引越運送約款第八章によると、「引越し業者が解約手数料や延期手数料を請求できるのは、引越し前日か引越し当日に申し出た時」となっています。(引越し前日は運賃の10%、引越し当日は運賃の20%以内が請求可能)
この相談者の場合は、解約申し出時期が引越し1カ月前ということなので、約款に従うとキャンセル料の支払いは認められません。
注意点と回避方法
注意すべき点は、引越し業者の中には独自の約款を利用している場合もあり、その際は独自の約款に拘束されるということです。
このトラブル回避方法としては、「契約する際に約款についての説明をきちんと受けること」「約款の内容を自分自身が理解すること」が考えられると思います。
引越し業者の中には、悪質な引越し業者が現実に存在します。悪徳業者は引越しの約款の説明がなく、見積り書が不完全な場合が多いです。(悪徳業者に注意!)
2.引越し当日に業者が大幅に遅刻した
インターネットで引越しを申し込み、見積りもメールで受け取って契約した。
引越し当日になり、引越し業者の到着予定時間が2時間過ぎても連絡が来ない。
事業者に連絡すると、「運転手が体調不良になり、人手が足りない。いつになるかわからない」と言われてしまった。アパートも退去しなければならないし、どうすればよいか。
(2013年11月受付 30代男性)
引越し業者の都合で遅延をしておきながら2時間も連絡がないなんて、この被害男性はかなり憤りを覚えていたのではないでしょうか。
標準引越運送約款第九章によると、「見積書に記載した引渡日(引越し日時)に引越し業者が来なかった場合、引越し遅延により直接生じた財産上の損害を運賃等の合計額の範囲内で賠償します」と定めており、「財産上の損害」「引越し料金の範囲内」という限られた請求内容が現実のようです。
財産上の損害と認められるためには、遅延が影響したことによる費用が領収書などで具体的に証明できないと厳しいかもしれません。
例えば、引越し後に予定していた旅行をキャンセルした場合の、旅費や交通費などのキャンセル料は請求対象になる可能性があります。
約款だけを見ると精神的苦痛は賠償対象にはなりませんが、なんらかの謝罪がなければ気が済まない様に思います。心ある引越し業者の対応を期待したいですね。
注意点と回避方法
引越しの注意点として、午後の引越しやフリー便では、遅延する確率が高くなることを覚えておきましょう。
遅延の多くは、朝市の引越しが押すことによって起こります。午後の引越しや時間指定なしのフリー便は、引越し料金が安いメリットがある反面、時間がずれ込むリスクがついてきます。
トラブル回避方法は、見積書に書いてある「引越し業者到着時間」や「荷物の受取日時」をしっかり確認することです。
電話見積りの場合でも、郵送などで見積書を送ってもらうなどして、書面上に証拠として残しましょう。証拠があれば、トラブルになった際に有利になる可能性が高いです。
3.引越し9カ月後に家財の破損が発覚した
引越し業者に2枚のびょうぶを重ねた状態で本棚の後ろに運んでもらった。
引越しから9カ月後に使用するために出して広げると、びょうぶの面から裏まで真ん中あたりに直径約12センチの穴が開いていた。すぐに業者へ電話で苦情を伝えたが、「引越しから3カ月が経過しているので応じない」と回答された。
納得できなかったので業者に来訪を求めて来てもらった。業者側は、びょうぶを見て写真を取ったが「3カ月が経過しているので対応が難しい。事案は持ち帰るが期待しないでほしい」と言って帰った。補償してもらえないのか。
(2013年10月受付 70代女性)
引越しトラブルの中でも特に多いのが、「荷物の破損・損傷」によるものです。
荷物の補償内容については、契約書(見積書)に明記してあることが多く、通常は、国土交通省の定める標準引越運送約款に基づく契約が定められています。
約款によると、家財を傷つけられた時の補償は、引越し後(荷物の引き渡し後)3カ月以内に業者側に通知しないと消滅するとしており、引越し後3カ月以上経過した場合には補償が難しくなるようです。
この相談女性の場合は、引越し9カ月後に荷物の破損に気がついたとのことなので、対応はかなり厳しいものと考えられます。
注意点と回避方法
注意点として、「引越し後の家財チェックは3カ月以内にすること」が挙げられます。季節品などすぐに使わないものは荷解きが遅くなりがちですが、思い入れのあるものや高価品は、傷がないかどうか早めに確認しましょう。
トラブル回避方法としては、「契約書にきちんを目を通して補償内容を確認する」「疑問点がある場合は業者に確認する」「個人で保険に加入しておく」が考えられます。
多くの補償は、契約書に書かれていることが多いので目を通せば把握できますが、色々と疑問点が出てくることもあると思います。わからないことがあれば業者に連絡をして、対応力などを含めて業者を決めると良いと思います。
4.引越し作業中に業者側のミスで高価な家具が傷付いた
引越し中に、業者側のミスで冷蔵庫とダイニングチェア2つに傷がついた。冷蔵庫は2カ所へこみがあり、これについては業者側が修理をすることで同意した。
しかし、ダイニングチェアについては、傷をパテで埋める修繕をすると事業者は主張している。
ダイニングセットは1年前に購入し、椅子1つ9万円ほどする高価なものだった。修理対応に納得できない。
(2013年10月受付 20代男性)
「業者側は非を認めて修理対応しているが、依頼男性は補償内容に納得できない」との事例です。
大事にしていた椅子が簡単な修理で済まされてしまっては、腹の虫がおさまらないのも無理ないと思いますが、業者側と依頼者側で、家財の価値に温度差が出やすく解決が難しい現実があります。
引越し業者の多くは「運送業者貨物賠償保険」に入っているので、万一の時に補償が受けられますが、補償額の上限や補償範囲などが業者によって違います。
詳しい補償内容は、業者に確認しなければ分からないことも多いですが、事業規模が小さいと対応力に劣ることがあると言われています。
注意点と回避方法
注意点として、「家財の梱包方法や養生範囲について事前に確認すること」があります。補償内容を確認することはもちろん大切ですが、何事もなく安心して任せられる業者かどうか確認するほうが大切です。
家財を運ぶ際に、しっかり梱包して建物も養生してくれる業者なら、大きなトラブルなく引越しが終わることが多いです。
以上の点をまとめると、トラブル回避方法は、「大手を含めた引越し業者を複数社比較して、補償内容や梱包・養生技術について確認する」「思い入れのある家財や高価な家財は別で保険に入る」が挙げられます。
運び出す荷物に高価なものがある場合は、個人で保険に加入しておくとより安心です。千円から入れる保険もあるので業者に問い合わせてみましょう。
まとめ
今回まとめたトラブルを見ると、「もっと早く確認しておけば・・・」という内容が多いように感じました。
実際に引っ越ししてからでないと分からないことも多いので、「これをすれば絶対にトラブルなく引越しできる」と断言するものはないのですが、見積りの段階で各社の対応力を見極めることはできるのではないでしょうか。
1社で即決してしまうのではなく、複数の引越し業者から見積りを取って比較検討し、希望するサービス内容や梱包・養生技術を確認した上で業者を決めると良いと思います。
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